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とし歴
◆ 初めての岡崎ハスラー月例・前編 ◆
 12月8日日曜日

 東海オープンの予選会場である名古屋市のブレイクショットで土曜の酔っ払いさんと所プロに会った。
 所プロは出場するだろうと根拠無く決め込んでいたが、土曜の酔っ払いさんが出場することは知らなかった。そして偶然にもお二方と同じ予選会場となった。
 ちょっと嬉しかった。

 試合の合間に土曜の酔っ払いさんと色々と球の話やホームの話をした。
 そして近い内に土曜の酔っ払いさんのホームの岡崎ハスラーに遊びに行く約束をした。
 土曜の酔っ払いさんにはいつもお世話になっている。マスターの所プロの球を間近で見たいというのもある。そんな訳で、こちらから「近い内に寄らせて頂きます!」と約束をした。

 折角行っても土曜の酔っ払いさんがいないと寂しいので、念のため、いつ行けば確実に土曜の酔っ払いさんに会うことができるか、訊いてみた。
「岡崎ハスラーに住んでいますんで、いつでもいますよ!」
 ほんまかいな。



 岡崎市中の球屋を全て把握している訳ではないが、岡崎市はビリヤード場が多い。よって、色々なタイプのお店がある。
 明るい雰囲気で気軽に入れるお店もある。ガラス張りで外から店内が良く見え、大通りに面していて、多少わいわいきゃーきゃー騒いでも許されるようなお店だ。そんなお店が沢山あれば、どんどんビリヤード人口が増えるに違いない。
 このようなお店は、ビリヤード人口の三角形の底辺を広げることのできるお店だと思う。

 カジュアルな雰囲気が売りのお店もあるが、対照的なお店もある。岡崎ハスラーは、どちらかと言えば道場のような雰囲気がある。
 そして、ビリヤード人口の三角形の頂点を上げるお店だと思う。

 岡崎ハスラーは敷居が高そうだ、と感じている人は多いのではなかろうか。(事実、私もその一人だった。)
 でも、それは周囲に、岡崎ハスラーが三角形の頂点を上げるお店だと、認知されている結果なのだと思う。

 事実、岡崎の中でも岡崎ハスラーは所プロがマスターをやっているだけあって、一番レベルが高い球屋だ。ママさん(所プロの奥様、親しみを込められてこのように呼ばれている)も、いつ女子プロになってもおかしくないほどの球を撞く人である。
 そんな二人が経営している球屋なので、上級者が自然と集まるのだろう。

 プロが経営している、そして常連客もA級が多い、ということを聞いてしまうと、どうしても恐縮してしまう。尻込みしてしまう。
 こんなことではイカン!・・・とは分かっているのだが。

 今回は約束をした!
 いつまでも尻込みをしていたのでは、約束を果たせない!
 よし!
 次の日曜日に岡崎ハスラーに行こう!

 私は覚悟を決めた。



 12月15日日曜日

 遂にこのときがやってきた。
 さぁ行くぞ!・・・と、気合いを入れる。
 あ、そうだ、そう言えば確か、岡崎ハスラーの会員カードがどこかにあった筈。
 どこへ行ったっけな・・・、とセカンドバッグの中を探しまくったら・・・、お、あったあった。
 えーと、有効期限が「平成14年8月」となっている・・・、大昔に期限が切れとるやん・・・。

 あ、いや、ちょっと待てよ!前に行ったのっていつだったっけ?
 あいちゃー、思い出した、JJmark3さんたちと行って以来だわ。そんときにカードを更新して、それっきり行ってないわ。
 ということは、年会費を払って、一日しか球を撞かなかった訳か・・・。
 ちょっと損したな・・・。
 まぁ、いいけど。
 自業自得だし。

 お店に着いたら直ぐに出せるように、会員カードをジャンパーのポケットに入れた。
 期限が切れている会員カードを、更新のために提示する必要があるかも知れない、と思ったからだ。
 そして、キューケースとぴぃちゃんを車に乗せ、岡崎ハスラーに向かって車を走らせた。



 岡崎ハスラーは岡崎市のメインストリート国道248号線(通称、ニーヨンパ)沿いにあり、国道1号線(通称、国道、または、コクイチ)から行くならば交差点、八帖で国道248号線を北進し500m進んだ左手にある。レンタルビデオ屋さんの2階にあり、また、とても立派な看板が掲げられているのでそれを目印にすると良いだろう。
 ただし、国道248号線は大変背の高い街路樹が植えられているので落葉している冬場は問題ないが、夏場はお店も看板も見つけ難くなる。場所を知っている者でも、ぼーっとしていると、うっかり通り過ぎてしまうことも珍しくない。
 万が一、通り過ぎた場合、慌てずに次の交差点を左折し、直ぐにまた左折しよう。一本裏の道からも岡崎ハスラーの駐車場に入ることができる。駐車場まで来れば、もう岡崎ハスラーは目の前だ。
 しかし、岡崎ハスラーの駐車場を見つけたからと言って、まだ気を緩めてはいけない。駐車場の入り口は狭く、また、一台当たりの駐車スペースも若干狭い。軽自動車や1000ccクラスの車ならそれほど困らないと思うが、3ナンバーの車は少し気合いを入れて駐車することになると思う。

 今日は、岡崎ハスラーを通り過ぎることなく、駐車場手前で充分に減速することができた。そして、すんなりと駐車場に入り、スムーズに駐車することができた。
 ふぅ。



 建物の二階に上がり、そーっとドアを開けてみる。
 ゆっくりと、覗き込むように恐る恐ると中へ入ってみると・・・、おお、賑わっている。
 おっ、一番奥の6番台に土曜の酔っ払いさん発見!

 そう言えば、先週「岡崎ハスラーに住んでいますんで、いつでもいますよ!」と言っていたけど、土曜の酔っ払いさんの姿を見て、あの言葉は真実だと分かった。
 いつもはピシッとしていて、とてもカッコイイ土曜の酔っ払いさんが、ジャージにぼさぼさ頭だった。それは正しく自宅でくつろいでいる姿だ・・・。
 恐るべし、土曜の酔っ払いさん!

 レジの前で待っていると、程無くしてママさんが来た。挨拶をし有効期限の切れた会員カードを渡す。
 ママさんに「久し振りだね」と言われた。
 滅多に来ない会員で、どうもスミマセン・・・。

 ママさんから球を受け取って4番台へ行く。
 上着や荷物をしまい、キューケースを開けた。中からシャフトだけ取り出し、まだケースの中にあるバットに差し込んで、しっかり繋がったところでケースからキューを出そうとしたら、天井を「どんっ」と撞いてしまった。かなり焦った・・・。
 そうだった、忘れていた。このお店は天井が低いので、要注意である。

 先ず、ぴぃちゃんから練習。ぴぃちゃんは、おもむろにセンターショットを始める。
 ぴぃちゃんにとって、2ヶ月振りぐらいの球撞きだ。センターショットが全然入らないのも無理はない。
 ・・・と思っていたら、徐々に入りだしてきた。
 後半は7球連続インで練習終了。

 う、うむ。
 ちょっと吃驚したぞい。
 前よりもしっかりと撞けるようになっているんじゃないか?



 ぴぃちゃんと流しでナインボールを開始。
 球を撞くと・・・、ん、何かが違う・・・。

 球を撞くときの音や、球と球がぶつかるときの音が、凄く良く聞こえる。天井が低いから反響するのだろうか。
 普段は聞こえない音が聞こえるので、最初は違和感を感じた。何だか気持ち悪かった。
 しかし、よくよく考えてみればこういう音が聞こえるって、良いことではないか?後半は、この音をしっかりと聞くようにして撞いたら、良く入るようになった。不思議だ。
 次に気付いたのは、ラシャの速さ。加減を間違えて長く出てしまうこともあったが、癖なく、とても素直な感じだ。気持ち良く球が撞けた。

 そういえば、プロがいない。
 あ、確か、今週は博多辺りで大きな試合があったような気がする・・・。ひょっとしたら、そっちへ行っているのかな?
 プロの球を見たかったので、ちょっと残念・・・。

 土曜の酔っ払いさんに、岡崎ハスラーの月例の話を聞く。そして、月例に出ましょう!と誘われる。日にちは、なんと明日だそうだ。
 おお!明日!?
 事前エントリが必要だが、この場で今、エントリすればOK!と爽やかな笑顔で言われてしまう。
 明後日にオークランド豊田の月例が控えているので、もし出場すれば二日連荘の試合ということになる。
 出ても良いんだけど・・・、いや、寧ろ出たいんだけど・・・、ちょっと不安なことがあった。
 それは、二日連続で定時退社できるか、ということだった・・・。
 う〜む。



 1時間半ほど撞いたところで私の携帯電話が鳴った。友人からだ。どうやら、コクイチでパンクしてしまったらしい。
 おお!それは大変!!
 電話の様子では、事故になったとか、怪我したとか、そんなことは言っていなかったが、やはり心配なので様子を見に行くことにした。

 清算時、ママさんに月例について質問した。
 午後7時30分に集合のこと。最悪8時までには絶対に来て欲しいとのこと。もし、7時30分に遅れるときは、要電話。
 ここで暫く悩む・・・。
 う〜む。

 以前、岡崎ハスラーの月例に出場してみたい、と思っていた時期があった。勿論、今もその気持ちはある。
 実は、今回の土曜の酔っ払いさんのお誘いは渡りに船なのだが、ちょっと仕事のことが引っ掛かっていた。
 時間に間に合うだろうか・・・、もし、間に合わなかったら、マスターやママさんにも、出場者の皆さんにも迷惑を掛けてしまう。
 出場すべきか、せざるべきか・・・。

 30秒ほど散々悩み、結局エントリした。フィーの2000円を払い、念のため自分の携帯電話の番号を伝えた。

 帰ろうと振り向くと
「月例ではお手柔らかにお願いします!」
と知らない人に突然言われた・・・。恐らく、岡崎ハスラーの常連さんだろう。ちょっと焦った。
「いえいえいえ、こちらこそ、どうぞ宜しくお願いします!それでは、失礼します!」
 そう言いながら、外へ出た。

 あー、吃驚した・・・。



 12月16日月曜日

 午後5時。

 岡崎ハスラーに7時30分までに着かなければならないということは、必然的に一番道路が混んでいる時間を走らなければならない。充分に余裕を見て運転する必要がある。
 通常ならば、ここから岡崎ハスラーまで、1時間弱ぐらい掛かるだろう。でも、1時間20〜30分ぐらいみた方が良いな。
 ということは、会社を出るのは、遅くて6時10分か・・・。

 午後5時40分。

「今から実験室に行って見てきて」
 えええー、マジっすかー。

 製品の納入先から「仕様と違うところがある」という報告書がやってきた。しかも今さっき。何というバッドタイミング。
 まさか断る訳にもいかず、やむなく、実験室にダッシュ!
 さっきまで居た設計室から実験室まで、歩いて5分かかる距離を早歩きで行く。結構しんどい。
 着いたらすぐさまパソコンを起動、計測機器を起動、基板とセンサ類を並べ、基板とセンサを繋げるために30本以上あるICクリップを間違えないよう、しかし手際良く一本一本接続する。パソコンが起動したらログイン、そしてアプリケーションソフトを起動、ネットワークからデータをダウンロード。そして基板の電源を入れる。

 早く、終わらせなきゃ・・・。
 直ぐに、終わらせなきゃ・・・。



 午後6時。

 やべー、あと10分しかねー。
 月例に間に合わねー。
 今すぐ仕事を終えなきゃ・・・。
 設計室に電話をし、動作結果は至って良好、全て仕様通り、報告書にあるような不具合現象は再現せず、という旨を伝える。

「じゃあ、今度はこういう条件でやってみて。」
 ええ〜、マジっすか〜。

 指示されたのは、今までやったことがないパターンだ。それを実現するために、ソフトを書き直してコンパイルする。コンパイルの間、更にデータの一部も書き換える。
 そうすると・・・、やっぱり、不具合は発生しない。至って正常。
 計測データを設計室にある自分のパソコンに転送し、パソコン等の電源を落とし、電話を掛けずに設計室に戻った。

 電話をして、次はこれやって、って言われたら、もうアウトだからな・・・。

 設計室に戻り、さっき計測したデータの内容を説明しようとしたら、不具合は無かったと言われた。
 はぁ、何じゃそりゃ。
 結局、不具合だと思われた現象は、納入先の計測間違いだということが判明した。

 むっきーっ!
 俺の時間を返せ!



 午後7時。

 退社だ〜!
 走り出したい気持ちをぐっと堪え、スマートにちゃかちゃかと早歩き。
 どたばた走り回ったりしたら変な目で見られることは確実だし、怒られかねない。
 そして、スマートに打刻。その時刻は午後7時02分。
 実は、あと8分待てば30分の残業がつくのだが、8分も待ってられん!

 スマートにエレベータのボタンを押し、エレベータに乗る。右から左へゆっくりと移動するランプの数字を見上げる。
 さて、どうやって岡崎ハスラーまで行こうか・・・。
 この時間帯は帰宅時通勤ラッシュ真っ只中だ。どんなに急いで運転してもたかが知れている。死にそうな思いをしながらの荒い運転で、すり抜けと割り込みの連続で走っても、恐らく5分も短縮できないだろう。
 危険な割には大して効果が無い。
 う〜む、何か良い手はないだろうか・・・。

 ランプが6から5へ、5から4へと移動していく。



 あっ!
 きらり〜ん!
 閃いた!
 これは秘策だ!!
 そうじゃないか!
 時間を短縮するためには、今ここしかない!
 ランプが1の数字で止まり、ゆっくりとドアが開いた。
 少し早足で歩き始める。ロビーを抜けて建物を出たところで小走りになり、緩やかに速度を上げていく。そして、門を出たところで全力疾走モードに突入!
 わりゃぁぁぁぁー!
 秘策とは、歩いて15分かかる駐車場まで走ることだ!
 10分ぐらいの時間短縮は確実!俺ってあったまいい〜♪
 どりゃぁぁぁぁー!!!

 3分後、息絶えた。

 もう足が上がらん、息ができん、よろける。心臓が喉の直ぐ下でバクバク言っている。
 自分の足を計算に入れるのを忘れていた。
 秘策は愚作だった。
 あ、いかん、頭まで痛くなってきた。

 大きく息を吸ったら、突然むせた。
 涙と鼻水が出た。

 けほけほ。
 ずー。



 途中にある踏切につかまってしまった影響もあり、思ったほど早く車に着くことができなかった。
 車に乗り込み時間を確認すると7時13分。
 う〜む、こりゃあかん、最悪の8時に間に合うかどうか、マジで微妙だ。
 通勤ラッシュ渋滞を勘案すると岡崎ハスラーまで45±5分掛かるだろう。
 ママさんの「7時30分に間に合わないときは電話してね」という言葉を守り、携帯電話を取り出した。

 ルルルル・・・。
「あっ、昨日エントリーしたとしおという者です。本当に申し訳ないんですが、7時50分ぐらいにそちらに着くと思いますのでよろしくお願いします!」
 がちゃ。
 はぁ、緊張した。

 それにしても、背中が気持ち悪い。汗でびちょびちょだ。
 鼻下をハンカチで拭いながらアクセルを踏んだ。

 さあ、うなれ!オーチャン号! (※)
 我と共に岡崎ハスラーへ猪突猛進GO!
 ぶ〜ん。


 私の愛車の愛称。
 名前の由来は、先代は「キューチャン号」だったので。
 センス無い?
 因みに万が一アメ車を買ったら「ドロンパ号」にする予定。



 コクイチは案の定、車が多い。しかし、流れは悪くない。と言っても、一応流れている、という程度だが。
 右車線、左車線とタイミングよく車線変更する。途中にある駐停車車輌や右折車輌にはまることなく、順調過ぎるほど順調に岡崎市内に入った。最後の最後でニーヨンパを使わず裏道を通り岡崎ハスラーへの駐車場に到着!
 時刻は何と、7時50分!
 おお!ぴったり!宣言通り!!
 でも、駐車スペースがなーい。(涙)

 バックでそろりそろりと後ずさり。
 慌てて路駐スポットへ移動しエンジンを止めた。
 オーチャン号、ありがとね♪

 車から颯爽と飛び降りると、突然大粒の雨が降ってきた。
「なんでやねーん!」と叫びながらダッシュ。
 そしてやっとお店の入り口に辿り着いた。
 ふぅ。

 ドアの手前で立ち止まり、息を整えてから静かにドアを開けた。
 時刻は7時55分。最悪の時刻には間に合った。

 店内を見ると、カウンターに土曜の酔っ払いさんが座っていた。般若のような顔をしているかもと思ったが、それどころか逆に、遅れて来た私を労ってくれた。
 や、優しいなぁ、土曜の酔っ払いさんは。
 ぐすん・・・。



 試合は既に始まっており、独特のぴりぴりした雰囲気が漂っていた。
「キューは組み立てておいた方が良いですよ。」
「あ、そうですね。」
 土曜の酔っ払いさんのアドバイスに従い、キューを組み立てた。
 あっ!また天井撞いちゃった・・・。

 土曜の酔っ払いさんから、試合のフォーマットやハンデについて簡単に説明を受ける。
 セット数は他店より1つずつ低く設定されており、C級は2セット、B級は3セット。そして、A級は4セット、SA級は5セット、SSA級(?!)は6セット、プロは7セットらしい。
 因みに「SSA級」というのは、この岡崎ハスラーで特定の人にだけ与えられたクラスらしい。恐らく、SA級のハンデで何度も優勝を重ねるか、プロに認められればSSA級になれるのだろう。

 程なくして名前が呼ばれ、キューをキューケースごと持って歩きはじめた。
 ん・・・、何だか体が重いな。全力疾走で足の筋肉が疲れている。そして、汗と雨でシャツやズボンがまとわりつく・・・。

 気付かなくても良いことに気付いてしまった。
 良く考えてみたら、体中何となく気持ち悪い感じがする。

 ちゃんと撞けるだろうか。
 こんなんで、ちゃんと球が撞けるだろうか。

 不安が頭を過ぎる。
 ネガティブイメージがゆっくりと顔を出し始めた・・・。



 一試合目はA級UTさん。UTさんは4セット、私はB級なので3セットになる。
 バンキングは合う気がしなかったが、弱く撞いて短いよりも球の感触を確かめるためにもしっかり撞いた方が良いと思い、少々強めに撞いた。
 短クッションから1ポイントほど浮いたが、UTさんの方が短かった。
 ブレイク権獲得。

 私のブレイクから始まったこの試合だが、調子の方はさっぱりだった。全然入らなかった。
 普段ならここでカッカするのだが、不思議なことに冷静でいられた。切れずにいられた。
 全力疾走で疲労し、体はべちょべちょ、だからぎくしゃくするのは当たり前、球が入らないのも当然。そんな風に開き直っていた。
 ただ、今の自分にできることは全部やろうと思っていた。

 妥協しない
 狙い倒す
 フォームが狂っていたとしてもそのうちに体が思い出すだろう
 今はただ兎に角ちびらずに真っ直ぐ撞く
 外しても真っ直ぐ撞く
 飛ばしても真っ直ぐ撞くのだ・・・

 殆どの球はUTさんが入れた。しかし、UTさんが8番から9番への出しを失敗し、9番入れにいくも入らず、イージーが残った。そして私はOKを貰った。
 次のゲームも全く同じような展開、そしてOKを貰い、私が2−0とリーチを掛けた。

「ひょっとしたら勝てるかも・・・」

 考えなきゃいいのに、余計なことを考えてしまった。
 油断という心がゆっくりと顔を出し始めた。



初めての岡崎ハスラー月例・後編に続く)