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| ◆ マーキュリー季節杯・2001夏 ◆ | ||||||||||||||||
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7月29日に私のホームでハウストーナメントが開かれる。 はっきり言おう。 これは私にとって有利! なんてったって、コンディションは良く知っている。 ラシャはどのぐらい走るのか、どの台のどのポケットが渋いのか、どんなボールを使っているのか、台間はどのぐらいあるかとか。 お店の空調はどのぐらい効いているのか、どんな照明を使っているのか、店内の明るさは、雰囲気は、トイレは。 どんな常連がいるのか、どんな店員がいるのか、そして、どんな人たちが出場するのか。 今月の初めにあったマスターズでは、会場に着くまで不安だった。 初めて出る大会の上に、初めて行くお店で撞かなければならないということが、こんなにも心細いことなのかと改めて思い知った。 しかし、そんな中で予選最終戦まで行けた。 そういう意味では上出来だったと思う。 今回はそんな不安は一切ない! 本当にこれは嬉しいことである。 さぁ、四半期に一度のホームでのHTだ! 頑張るぞ!! 試合当日。 午前8時。起床。 大変なことが起きた。妻が倒れた。 倒れたと書いては大袈裟かも知れないが、実際に起き上がれない状態になってしまったので、倒れたも同然だろう。 昨日からちょっと調子が悪かった。明日は久し振りのHTだ、ということもあって、無理を押して練習に行ったのがまずかったのか。 今日のHTは出場を辞めよう、二人で家でゆっくりしよう、と言ったら妻に怒られた。 台所に行ったら、おにぎりが2個とペットボトル入りのお茶が置いてあった。 ふと視線を窓に向けたら、青空の下、洗濯物が風に揺れていた。 こんなにも体調が悪いのに、いつも通りに起きて、いつも通りに洗濯をしたのか? しかもその上、朝ご飯とお昼のお弁当まで用意してくれたのか? ・・・。 そうか。・・・。そうか。・・・。そうか。 うむ。 よし。妻の分まで頑張ろう。 朝食を食べ、おにぎりとお茶の入った袋を持ち、キューケースを担いだ。 眠っている妻を起こさないようにドアをそっと閉め階段を下りた。 午前9時20分。ホーム。 「おはようございます。おぉ!」 いつものホームからは想像も出来ないほどの人数が店内にいる。こんなに集まったのは前回の春の季節杯以来ではなかろうか。 店内は熱気に溢れていた。 7台ある台全て埋まっていた。それぞれの台では出場者が思い思いに練習をしていた。 暫く店内をうろうろしようかとも思ったのだが、人が多いのでなかなか思うようには動けない。 結果、気付いたら私はカウンター近くでおろおろしていた。 あっ、そうだ。 おにぎりとお茶は店長のミウラさんにお願いして、カウンターの中に置かせてもらった。 このホームの常連さんなど、たまたま入り口の近くにいた知っている人に挨拶をした。 それにしても、知らない人の方が多いな。 自分のホームのHTなんだから、100%知っている人でもおかしくないだろうに。 人が練習しているのを見ていたら、なんだか急に不安になってきた。 ほんの少しだけで良いから、何球か撞きたい。 ・・・、遅く来た私が悪いんだから、しゃーないか。 と思っていたら、救いの手が差し伸べられた。JJマークVさんだ。 「良かったら・・・。」 勿論勿論! いやいや、というよりはこちらからお願いします! 一緒に撞きましょう!! 暫くして、くじ引きが行われた。私が引いた番号は28番。 これが吉と出るか、凶と出るか。 30名以上の参加者がいるが、お店にある台は7台。くじもかなり後ろの番号を引いたので自分の試合はまだまだ後になるだろう、と高を括ってのんびりしていたらすぐに名前が呼ばれた。 おっ、もう俺か?! どんな順番で試合順を決めているんだ? 慌てて台に向かい、対戦相手のSハラさんに一礼する。 Sハラさんも私も同じ4セットハンデである。 球をキュー先でちょいちょいと引き寄て構えた。 バンキング。 よし、良い感じで撞けたぞ。 私の球はゆっくりと手前短クッションに入り、ボール1個分ほど浮いたところで止まった。 よし、ブレイク権は取れただろう、と思いながら横を見たら、Sハラさんも似たようなところで止まっている。 うげ。 これは・・・、どっちなんだ・・・。 私もSハラさんも、立ち上がったり視線を下げたり、あらゆる角度から眺めるが、どうも分からない。 審ぱーん、審判はいませんかー、と叫びたかったが、皆忙しそうでだれもこちらに気付いていない。 う〜ん。 ん? ・・・、よく見たら、私のほうがちょっとだけ近いような気が、しないでもない。 どうだろう・・・。 「・・・、わたしのほうが近いですかね・・・。」 「・・・、そうですね・・・。」 よっしゃ! ブレイク権を取った!! 大会最初のブレイクなので、一斉ブレイクで始まる。 う〜ん、これはミスしたらかなり恥ずかしいぞ。 フルパワーではなく、50%ぐらいの力でコントロール重視のブレイクをしよう。 うんうん、それがいい。そうしようそうしよう。 全ての台でラックが組み終わった。 いよいよ号令がかかるぞ。 ・・・そう言えば、一斉ブレイクをするの、初めてだな。 号令がかかった。 ゆっくりとキューを引いて、渾身の力を込めてフルパワーブレイクショーーーット!! 手球は強烈に1番に当り、ラックを粉微塵にした。 ん? そうだ、フルパワーじゃなくて、コントロールブレイクをするつもりだったんじゃなかったっけ??? しもうた、何やっとんじゃ俺は・・・。猿よりも記憶力が悪いのか俺は。 ミスキューしなくて良かった。 場内から拍手が起こった。 私個人に向けられた拍手ではないことは十分承知しているが、ちょっと気持ち良かった。 私のブレイクから始まった1ゲーム目は、相手に取られてしまった。 残り球は多かったのだが、トラブルや難しいところがない配球を渡せば、そのまま相手に取り切られてしまう。 相手は上手いぞ。 0−1。 2ゲーム目。 相手が9番を抜いた。これは大チャンス! しかし渋い。9番は短クッション際、手球は反対の短クッション際。カットや引っ掛けでポケットするには難し過ぎる配置。 難しいカットに行って9番に触ることが出来なかったらまずい。ここは縦バンクで行こう。外しても残りを悪くすればいい。 そう思い縦バンクに行ったが、見事に失敗。球クッションしてしまい、残りがイージーになってしまった。 Sハラさん、確実に9番を沈めた。 0−2。 3ゲーム目。 相手がファールした。これは本当に大チャンス! 慎重に手球を置く。 適度な振り、適度な距離。良し、確認OK! 6番はサイドポケットに入れよう。7番に対して逆振りにならないように出さなければ。 色々なことをぶつぶつ考えながら4番を落とした。ちょっとだけ引いた手球は想像通りのところに止まった。 よっしゃ、ベストポジション! 手球から6番を見たとき、目に微妙に震えている対戦者の肩が映った。 ん・・・? 何で肩が震えているの? あれ? ひょっとして、笑っている? なんでそんなに大ウケしてんの?? ん??? あ。 あっ! もしや!! その、もしや、だった。台上にはまだ3番がいた。「俺を忘れるなよな!」と言わんばかりに赤い顔をして怒っているいように見えた3番がいた。 あーーー! 久し振りにやってしまった、順番飛ばし!! しかも、フリーボールからやってしまった!! ぐぎゃぁ〜〜〜〜・・・。 ・・・。 恥ずかしいよぅ。 穴があったら入りたいよぅ。 ふぇ〜ん。 そそくさと手球を取って相手に渡し、逃げるように台から離れて椅子に座った。 あーもう、俺のバカバカバカバカ。 この局面で相手にフリーボールを渡してしまった。もうダメかと思った。 しかし、再びチャンスは訪れた。相手はフリーボールから3番を落とすが6番でファール。 今度は何度も球の番号を確認してから手球を置いた。6番を落として7番に出す。 さぁ、ここからが難しいぞ。 8番と9番は穴前に残っているのだが、少しいやらしい配置になっている。二つとも、同じ穴の前にあるのだ。しかも悪いことに8番がより穴に近いところにあるので、下手な場所にポジションすると9番で8番を隠してしまう可能性がある。 慎重に7番を落として8番にポジションしたつもりだったのだが、予想よりも手球が走ってしまった。 やべ! 慌てて手球のところに走って行き、手球から8番を覗き込む。 ぎりぎりセーフ。 やばかった〜。 まだまだ油断は禁物。手球が8番に当たる前に9番に触ってしまったら目も当てられない。 慎重に8番に向かって手球を撞いたその瞬間、冷や汗が出る。 やべ! 薄い!! 9番を意識し過ぎた!!! 手球に弾き飛ばされた8番はゆっくりとポケット方向に向かい、辛うじてぎりぎりから入っていってくれた。 ふぅ、穴の大きさに助けられた・・・。 厚みを間違えたので、違うところに出てしまった。かなり薄い。 9番が穴前にあることが救いだ。このぐらいなら何とかなるだろう。 しかし油断は禁物! 慎重に慎重に狙った。 8番が落ちたポケットと同じポケットに9番を落とした。 1−2。 4ゲーム目。 ブレイクしてみたら、何か球が入ったのだが、これは困った。1番が見えていない。 しかも、良く良く見てみたら、もしフリーボールを相手に渡そうものならば、1−9コンビが狙えてしまう配置。 空クッションから当てに行くが、1番に当たらず、9番に当たる。 最悪の事態は逃れたかと思いきや、9番の止まった位置が最悪。別の穴前で止まってしまう。これこそ、フリーボールを貰ったら誰でも1−9コンビに行く配置。いや、1−9コンビに行かなかったらおかしい配球。 う〜ん、ついていない・・・。 相手は確実に1−9コンビを決めた。 1−3。 5ゲーム目。 チャンスが回ってきたのに7番から8番の出しを失敗。バンクショットを選択するも、痛恨のスクラッチ。 ハイボールでミスしてしまった・・・。 相手が難なく8番9番を取り切って試合終了。 1−4で負けてしまった。 なんだか、緊張感なさ過ぎ。 ホームでの試合だからと言っても、それにしてもリラックスし過ぎ。 やらんでも良いファールやっとるし。 初めての店で撞いた前回のマスターズではかなり緊張して、それも吐きそうになるほど緊張して撞いた。 あれほど緊張したから良かったのだろうか。 私は、それほど緊張しなければダメなのだろうか。 ほどなくして次の試合が始まった。 敗者ゾーンでの1試合目は、なんと、さっき私に救いの言葉を掛けてくれたJJマークVさん。 JJマークVさんのハンデは3セットである。 お辞儀をした後、球をちょいちょいと引き寄せて、撞いた。 バンキング。 ふと、JJマークVさんの球が気になったので、ちらっと見てみた。 それはかなり弱いでしょう。 ふふふ。バンキング頂き。 しかし、私の球はそれ以上に弱かった。 ほぼ2ポイント上にとまったJJマークVさんの球に対し、私の球はサイドポケット付近で止まってしまった。 あぅ。 1ゲーム目。 入れが悪い。とにかく入らない。 難しい球という訳ではない。勿論、簡単な球だという訳でもないのだが、それでもしっかりと狙って、しっかりと構えて、しっかりと撞けば入れられる球の筈だ。それを抜いた。 それに対してJJマークVさんは確実に入れ繋いでいる。ミスも殆どない。 ゲーム中盤からJJマークVさんに見事に取り切られた。 上手い。 2ゲーム目。 完全に波に乗らせてしまったか。 改めて上手いと思った。 それに対して、私は何をやっているんだか・・・。 手球を長く走らせなければならない出しが何ヶ所かあったのだが、JJマークVさんは無難に取り切った。 0−2。 お? リーチを掛けられてしまった・・・。 やべ。 3ゲーム目。 チャンス到来。 JJマークVさんが2番を外したところで番が回ってきた。 これを取り切るつもりで撞かなければやられる。 頭ではそう思っているのだが・・・。 外した2番が台上をぐるぐる回り、9番に当った。 そして9番はころりとポケットに落ちる。 絵に描いたようなフロックイン。 しかし、それでも正直、内心ほっとした。 運を味方に付けてでも、ここから何とかしたい。 1−2。 これが反撃の糸口となるか? 4ゲーム目。 8番、9番が残った配置で回ってきたが、渋い。 2つの球が非常に近い。しかし、取り切れない配置ではない。 ここで再び相手に撞かせてしまったらいけない。 何としてでも取り切るのだ。 長クッション際にある8番を長クッションに這うように転がして、6ポイント先のコーナーポケットにカットで入れた。 力加減が難しかったが、手球もバタバタで上手い具合に出た。 9番も同様にカットして、2ポイント先のコーナーポケットに入れた。 2−2。 5ゲーム目。 ひぃひぃ言いながら入れ繋いだ。 やっと緊張感を持って撞くことができた。しかし、遅過ぎたのだろうか。 6番で痛恨のスクラッチを犯してしまう。 ああぁぁ。 ったく、俺って奴は・・・。 その後、JJマークVさんが6789と取り切った。 9番への出しを少し失敗して、嫌らしい振りになってしまったが、見事にポケットにねじこんだ。 素晴らしい! 2−3で試合終了。 どうもありがとうございました。 時計を見たら、まだ11時。 そうだ、妻が私のためにおにぎりを作ってくれたんだった。 試合が長くなってもお腹を空かせることがないように作ってくれた妻のおにぎり。 しかし、残念ながら私はお昼の時間を迎える前に敗退してしまった。 なんだか妻の想いに応えられなかった自分が情けなくなってくる。 メンタル面でどうのこうのは言いたくない。 確かに、そういう影響もあるだろう。 人によっては、ホームならば実力を十二分に発揮できるという人もいるだろうし、逆にあまり行かないお店での試合の方が何故だか調子が良い、という人もいるだろう。 ひょっとしたら今回の私の敗因も、日頃慣れ親しんだホームでの試合だということが裏目に出た、ということもあるのかも知れない。 しかし、そうは思いたくない。 敢えてそう思いたくない。 それは、メンタルどうこう言っても良いのは上級者やプロだけだと、私は思っているからである。 練習していないから負けた、技術がないから負けた。 普段練習で出来ることを試合で出せなかったから負けた。 だからもっと練習しよう。 入れに強くなろう。 出しを沢山覚えよう。 メンタルを口にするのは、それらの練習を一通りやった後にしよう。 カウンターにいるミウラさんに、預けておいたおにぎりとお茶を出してもらった。 家に帰って、妻と今日のことを話しながら、一緒にお昼を食べよう。 折角おにぎりを作ったのに家で食べたら意味が無い、って妻に怒られるかな。 ははは。 ま、そう言われても仕方がないな。 静かドアを閉めてマーキュリーを後にした。 聞こてくる球の音を背中に、ゆっくりと歩き始めた。 |
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| ◇ 結果 ◇ | ||||||||||||||||
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